薬剤による呼吸器病変は気管支喘息をはじめ多数知られているが、間質性肺炎は重大な副作用として取り扱われ注目される。その理由は肺線維症へと進行し、死の転帰に至ることもあり、現在のところ、的確な治療方法が確立されていないからであろう。
薬物性間質性肺炎は、その症状、経過、予後が複雑で、診断が困難な場合が多い。 また、多剤併用療法、放射線療法、酸素投与、基礎疾患などがさらに診断を困難にする。
(1)肺炎と間質性肺炎
肺炎とは病原体が肺胞*領域(肺胞の内側の実質と呼ばれる部位)に侵入、増殖し、生体反応を引き起こした感染症で、一方、間質性肺炎は肺胞隔壁を主な病変部位(肥厚、細胞浸潤、線維化を主体)とし、炎症を遷延化させる。
*肺胞pulmonary alveoli→問題(6)にもどる
肺において気管支が無数に分岐し、それらの終末部の行き止まりになった半球状の小部屋を肺胞という。この総数は両肺で約 7〜8 億個で、総表面積は90u、ここで酸素と炭酸ガスの受け渡しをする。
肺には前循環血液が肺循環を介して流れ込むため、種々のルートより投与された薬物は血中にはいると肺を通過しなければならない。肺は常に換気運動という機械的ストレス下にあり、肺胞の微細構造は常に障害を受けやすい状態にある。
間質に炎症が起こると、炎症によって障害を受けた部位を修復するために、間質にある線維芽細胞が増殖し、線維化がおこり間質は肥厚する。間質が厚くなれば、それに伴って肺胞が圧迫されて障害(変形)され、肺胞数も減少し、肺は硬くなり、弾力性も失われる。
このため肺炎と間質性肺炎を区別するには、山中は肺実質と肺間質を明確に定義している。つまり肺実質とは肺胞上皮細胞と肺胞上皮細胞に囲まれた肺胞腔とし、肺間質とはその他の部分と定義している。すなわち、間質とは肺胞壁の基底膜、毛細血管、結合織、また肺胞嚢や肺胞道、肺静脈の周囲組織、胸膜下や小葉間の結合織で、さらに単純に言えば、肺胞を構成している組織(空気の入っている部分を除いた肺胞の部分:肺胞の壁)をいう。
(2)間質性肺炎の分類
間質性肺炎には、炎症が起こる原因がはっきりしているものと、原因のわからな いものに分けられる。
原因がはっきりしているものとしては次がある。
@過敏性肺炎:
住宅内のカビや、愛玩鳥などの排泄物などに由来して起こる。特に高温多湿な夏期におこることがあるので、夏型過敏性肺炎とも呼ばれる。環境からカビや排泄物と隔離するため、入院治療が必要であり、ステロイド剤を用いて炎症を抑える。
A薬剤性肺炎: →2.薬剤性間質性肺炎
B放射線肺炎:
特発性間質性肺炎は、一つの疾患ではなく、原因不明の間質性肺炎の総称で、アメリカでは特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)、 イギリスの cryptogenic fibrosing alveolitis とほぼ同義語である。1981年間質性肺疾 患調査研究班(班長:本間日臣)によって提唱された病名である。その症状は、多くは緩徐に進行するが、急性増悪を来すことがあり、いずれも予後不良で、死の転帰をとることが多い。
→薬剤性間質性(線維化)肺炎
薬剤によって喘息、好酸球性肺炎、間質性肺炎、肺水腫、胸膜炎、縦隔炎、呼吸筋痲痺などの呼吸器疾患が誘起されることがあるが、通常「薬剤性肺炎」と呼ばれるのは、急性、慢性の間質性(線維化)肺炎である。
原因薬剤との因果関係を明らかにする手段として、薬剤誘発試験が確実であるが、過剰反応をきたす可能性があり、実施できない。
(1)薬剤性間質性肺炎の発症のメカニズム
薬剤性間質性肺炎を起こすメカニズムについて、なお不明な点が多い。一般に薬剤による肺障害は、次のように考えられている。
@細胞毒性によるもの: →例:抗ガン剤、免疫抑制剤など
(薬剤あるいはその代謝産物の直接的中毒作用による肺血管、気管支、肺組織への障害によって発症)
→問題(8)にもどる
これらの薬剤または代謝産物が、肺毛細血管内皮細胞、肺胞上皮細胞に直接障害を及ぼし、これらの細胞障害作用が肺血管透過性亢進、間質の浮腫、間質の炎症、線維化へと進行する。
直接毒性発現には薬剤の代謝過程に生じるフリ−ラジカル、障害の過程に出現する炎症細胞から分泌されるプロテア−ゼなどもその原因として挙げられる。
直接的細胞障害作用では肺血管透過性の亢進や肺胞壁でのマクロファ−ジやリンパ球などの炎症細胞による炎症反応の結果、その炎症の持続により肺胞壁や肺胞内へのフィブリンの沈着が生じて線維化が進む。
Aアレルギ−反応によるもの: →例:抗菌剤、金製剤、抗不整脈用剤など
(薬剤を抗原とするアレルギ−免疫反応に基づく障害)
→問題(8)にもどる
間質性肺炎は薬剤惹起性SLE(全身性エリテマト−デス)の一部分あるいは過敏性反応として起こる。アレルギ−反応は主にV、W型で、T型反応によることもある。
薬剤・代謝物がマクロファ−ジを刺激し、活性化されたマクロフ−ジは、T細胞に働いて、リンホカイン、セロトニンやヒスタミンなどの化学伝達物質を遊離さ
せる。また、B細胞は免疫グロブリンを作らせ、補体が関与して抗体抗原反応を起こす。このようにしてアレルギ−反応が起こると考えられている。
(2)薬剤性間質性肺炎の発現と病態
間質性肺炎では肺胞の障害などによって次の特徴的な症状を示す。
@息切れと空咳:→喘息の場合は喘鳴と喀痰
体を動かした場合の息切れと、痰が出ない空咳で、肺が硬くなるにつれて、体を動かすと乾いた咳が頻繁に出るようになる。
A呼吸数の増加:
一般に呼吸数は約20回であるが、間質性肺炎では肺が硬くなって伸展しないので、1回の呼吸量は減少する。このため呼吸数を増加しなければならない。
Bバチ状指:
酸素不足の状態が続くと、爪の下の毛細血管が肥大して、そこに血液が貯留し、指が膨らんでバチ状指となる。
Cチアノーゼ:
血液中のヘモグロビンは酸素と結合すると、血液の色は青紫から赤くなるが、間質性肺炎が悪化すると、血液中に十分酸素が取り込まれず、末梢の血管まで運搬されず不足する。酸素と結合していない血液は青紫となる。唇など青紫に見えるチアノーゼを起こす。
間質性肺炎は、原因薬剤によって投与開始後数週間〜数カ月後に緩やかに発症す るものや、薬剤投与の中止後、数カ月〜数年後に発症する例もあり、副作用として 間質性肺炎の報告のある薬剤は、投与終了後も観察する必要がある。
アレルギ−反応で起こるものは、服用後、比較的早期に間質性肺炎が起こる。抗菌剤や消炎鎮痛剤などでは服用後 1〜2 週間で発病し、漢方薬、インタ−フェロンでは 2カ月程度で、抗ガン剤の場合は、平均的には 3カ月程度で発病するが、種類によっては 1〜2 カ月から、 1〜2 年後とバラツキがある。
薬剤そのものにより細胞が障害されるタイプの薬剤性肺炎は、長期の服薬によって起こる場合が多く、症状の発現は遅い。
薬剤性間質性肺炎は症状は非特異的で、炎症細胞の浸潤と胞隔の肥厚、線維化を種々の程度と比率で伴う。線維化の強いものは不可逆性である。
抗菌剤などが原因で発症するアレルギ−性反応による間質性肺炎は、薬剤投与 1週間以内の発症が多く、発熱、咳嗽、呼吸困難等の臨床症状が現れ、先行して発疹が認められる場合もある。胸部X線写真では、両肺野に均等性の淡い小粒状間質性陰影(びまん性のスリガラス状あるいは雲絮状様の陰影)がみられ、Velcroラ音* が聴診される。息切れが軽度なもの、リンパ球が多いものなどがある。
検査所見では血液ガスには低酸素血症が見られ、その他、好酸球増多、CRP陽性化、そしてGOT・GPT・LDHの上昇などが認められる。
*Velcroラ音:
異常肺音の一つで、細かい断続音(パチパチとはじけるような音)が聴診され、 マジックテ−プ(米国では商標名がVelcro)を剥がす時の音に似ているため名付けられた。吸気の中・後半に出現し、間質性肺炎などで認められる。
ラ音はラッセル音とも呼ばれ、肺の聴診での副雑音のうち、胸膜摩擦音などを除いた肺に由来すると考えられる音を指す。
(3)間質性肺炎の原因となるおそれのある薬物
| 薬剤 | 件数 |
| 抗ガン剤・免疫抑制剤 | 81 |
| 抗生剤・抗菌剤 | 54 |
| 漢方薬 | 10 |
| インタ−フェロン | 54 |
| G-CSF | 13 |
| リウマチ治療剤 | 55 |
| 消炎鎮痛剤 | 5 |
| (熊本大学第一内科調べ) | |
原因薬剤としては、免疫抑制剤を含む抗ガン剤によるものが最も多く、特にブレオマイシン、ペプロマイシンは数〜10%前後に肺症状が認められ、投与量に相関して増加し、また年齢が高いほど発現率が高い。このように抗ガン剤や免疫抑制剤が薬剤性間質性肺炎の約80%を占めている。
このように以前は抗ガン剤による間質性肺炎が多かったが、最近ではインタ−フェロン製剤、漢方薬、抗不整脈剤、リウマチ治療剤での発症が増加している。
インタ−フェロンはC型肝炎に対する適応症拡大とともに使用量が増加しているが、それとともに間質性肺炎の発症の報告があり、特に小柴胡湯との併用によるものが半数近いので、インタ−フェロンと小柴胡湯の併用は禁忌である。
小柴胡湯、柴苓湯などの漢方製剤は、単独投与でも間質性肺炎の発症報告がある。
抗不整脈剤のアミオダロンも発生率が約 6%と高い。
その他の薬剤としては、抗リウマチ剤のペニシラミン、金製剤、降圧剤のメチル ド−パ、ヘキサメトニウム、抗てんかん剤のフェニトインなどが挙げられる。
最近、各種セフェム系、カルバペネム系製剤による発症報告が増加している。また、抗ガン剤のうち最も頻度の高いのはブレオマイシンで、用量依存的に発症率が高くなる。ブレオマイシンによる間質性肺炎は早期で線維化が進行していなければ、ステロイド剤が有効で、生検で硝子膜形成が著明であれば、ウロキナ−ゼの併用が考えられる。早期診断としては肺拡散能のモニタ−や肺局所のロイコトリエンD4 の上昇のチェックなどが検討されている。また、最近、エトポシドによるものの報告が増えている。
間質性性肺炎の主な原因薬剤としては、〔表 2-1,2〕の薬剤が挙げられる。
| ◇不整脈用剤: →〔表2-2〕 | ◎アミオダロン(アンカロン) →Vクラス 膜安定化剤 |
| ◇アルキル化剤 | |
| エチレンイミン系 | カルボコン(エスキノン) |
| ナイトロジェンマスタード系 | メルファラン(アルケラン)、シクロホスファミド(エンドキサン) |
| スルホン酸エステル系 | ブスルファン(マブリン) |
| ◇代謝拮抗剤 | |
| 葉酸代謝拮抗剤 | メトトレキサ−ト(メソトレキセ-ト)(リウマトレックス:免疫抑制剤) |
| ピリミジン拮抗物質 | テガフ−ル(フトラフ-ル)、カルモフ−ル(ヤマフ-ル、ミフロ-ル) テガフ−ル・ウラシル(ユ-エフティ) |
| ピリミジン拮抗類似薬 | ドキシフルリジン(フルツロン) フルオロウラシル(5-FU、但し、坐剤、軟膏には記載なし) |
| シトシン系製剤 | シタラビンオクホスファ−ド(スタラシド) |
| カルバミド系製剤 | ヒドロキシカルバミド(ハイドレア) |
| ◇抗腫瘍性抗生物質製剤 | |
| マイトマイシンC製剤 | マイトマイシンC(マイトマイシン) |
| ブレオマイシン系製剤 | ◎ブレオマイシン(ブレオS軟) 注射剤:◎ |
| ◇抗腫瘍性植物成分製剤 | エトポシド(ベプシド、ラステット) |
| ◇その他の抗腫瘍剤 | 塩酸プロカルバジン(ナツラン)、クエン酸タモキシフェン(ノルバデックス)、フルタミド(オダイン) トレチノイン(ベサノイド) |
| 注)◎印:添付文書中に間質性肺炎の警告のあるもの 生物学的製剤(インタ-フェロン製剤)M間質性肺炎の発症頻度高し ◎インタ-フェロン-α製剤:インタ-フェロン-α(オ-アイエフ、INFαモチダ、スミフェロン)-INJ.* ◎インタ-フェロン-α-2a(キャンフェロンA、ロフェロンA)-INJ.* インタ-フェロン-α-2b(イントロンA-INJ.)* インタ-フェロン-β製剤:◎インタ-フェロン-β(フェロン、INFβモチダ)-INJ. インタ-フェロン-γ製剤:インタ-フェロン-γ-1a(ビオガンマ、イムノマックス-γ)-INJ. *印:小柴胡湯の併用例で間質性肺炎の発現を多いので併用禁忌 抗腫瘍性植物成分製剤のイリノテカン(カンプト、トポテシン)は間質性肺炎の患者には使用しない(警告)。 |
|
| ◇抗てんかん剤 | |
| ヒダントイン系 | フェニトイン(アレビアチンなど)、エトトイン(アクセノン)、フェニトイン+フェノバルビタ-ル(ヒダント-ルD、E、F、複合アレビアチン) |
| その他 | カルバマゼピン(テグレト-ル)、ゾニサミド(エクセグラン) |
| ◇非ステロイド性抗消炎鎮痛剤 | ジクロフェナクNa(ボルタレン)、フェンブフェン(ナパノ-ル)、ナブメトン(レリフェン)、ロキソプロフェンNa(ロキソニン)、アルミノプロフェン(ミナルフェン) |
| ◇抗リウマチ剤 | アクタリット(オ-クル、モ-バ-)、ブシラミン(リマチル)、オ−ラノフィン(リド-ラ) |
| ◇総合感冒剤 | 配合剤(PL、ペレックス、LLシロップ) |
| ◇チエノジアゼピン系抗不安剤 | エチゾラム(デパス) |
| ◇抗パ−キンソン剤 | |
| D1、D2作動剤 | メシル酸ペルゴリド(ペルマックス)、カベルゴリン(カバサ-ル) |
| ◇三・四環系抗うつ剤 | 塩酸クロミプラミン(アナフラニ-ル)、塩酸イミプラミン(トフラニ-ル、イミド-ル)、塩酸マプロチリン(ルジオミ-ル) |
| ◇利尿剤 | |
| チアジド系及び類似体 | シクロペンチアジド(ナビドレックス)、トリクロルメチアジド(フルイトラン)、ヒドロクロロチアジド(ダイクロトライド)、ベンチルヒドロクロロチアジド(ベハイド)、ペンフルチジド(ブリサイド)、メチクロチアジド(エンデュロン)、メフルシド(バイカロン)、メチクラン(アレステン) |
| ◇強心剤 | |
| ジギタリス製剤 | ジゴキシン(ジゴキシン、ジゴシン)、ジギトキシン(ジギトキシン)、ラナトシドC(ジギラノゲンC)、プロスシラリジン(タル-シン) |
| ◇不整脈用剤 →〔表2-1〕 | 塩酸メキシレチン(メキシチ-ル)、塩酸アプリンジン(アスペノン) →T-b |
| ◇ACE阻害剤 | マレイン酸エナラプリル(レニベ-ス) |
| ◇血圧降下剤 | |
| 配合剤 | エシドライ、ダイクロライドS、ベハイドRA、(強力)セルパシル・アプレゾリン |
| ◇プロトンポンプ阻害剤 | オメプラゾ−ル(オメプラゾン、オメプラ-ル)、ランソプラゾ−ル(タケプロン) |
| ◇炎症性腸疾患治療剤 | サラゾスルファピリジン(サラゾピリン)(アザルフィジン:抗リウマチ剤)、メサラジン(ペンタサ) |
| ◇胆汁酸利胆剤 | ウルソデ(ス)オキシコ−ル酸(ウルソ、ウルソサン) |
| ◇肝機能改善剤 | チオプロニン(チオラ) |
| ◇酵素製剤 | セラペプタ−ゼ(ダ-ゼン)、配合剤(バリダ-ゼ) |
| ◇抗アレルギ−剤 | プランルカスト水和物(オノン) |
| ◇副腎皮質ステロイド | 酢酸コルチゾン(コ-トン)、酢酸パラメタゾン(パラメゾン)、デキサメタゾン(デカドロン)、ベタメタゾン(リンデロン)、プレドニゾロン(プレドニン)、メチルプレドニゾロン(メドロ-ル) |
| ◇抗甲状腺ホルモン製剤 | チアマゾ−ル(メルカゾ-ル)、プロピルチオウラシル(チウラジ-ル、プロパジ-ル) |
| ◇血小板凝集抑制剤 | ベラプロストNa(ドルナ-、プロサイリン)、シロスタゾ−ル(プレタ-ル)、塩酸チクロピジン(パナルジン) |
| ◇子宮内膜症治療剤 | ダナゾ−ル(ボンゾ-ル) |
| ◇解毒剤 | D−ペニシラミン(メタルカプタ-ゼ)、塩酸トリエンチン(メタライト) |
| ◇免疫抑制剤 | アザチオプリン(アザニン、イムラン)、イノシンプラノベクス(イソプリノシン)、ミゾリピン(ブレディニン)、シクロスポリン(サンディミュン)、アザチオプリン(イムラン) |
| ◇その他の腫瘍用薬 | 塩酸プロカルバジン(ナッラン) →アルキル化剤 ヒドラジン誘導体 トレチノイン(ペサノイド)→ビタミンA活性代謝物 |
| ◇刺激療法剤 | オ−ラノフィン(リド-ラ)→金製剤 ブシラミン(リマチル)→ペニシラミン類似SH化合物 |
| ◇漢方製剤 | 黄連解毒湯、乙字湯、柴胡桂枝乾姜湯、小柴胡湯*、柴朴湯、柴苓湯、滋陰至宝湯、辛夷清肺湯、清肺湯、大柴胡湯、半夏瀉心湯 |
| ◇セフェム系製剤 | 塩酸セフェタメトピボキシル(セフィル)、塩酸セフォチアムヘキセチル(パンスポリンT)、セファクロル(ケフラ-ル、L-ケフラ-ル)、 セファトリジンプロピレングリコ−ル(セフラコール)、セファドロキシル(サマセフ、セドラ-ル)、セファレキシン(ケフレックス、センセファリン、ラリキシン)、セフィキシム(セフスパン)、セフジトレンピボキシル(メイアクト)、セフジニル(セフゾン)、 セフテラムピボキシル(トミロン)、セフポドキ シムプロキセチル(バナン)、セフチブテン(セフテム)、セフラジン(アニフラジン)、セフロキサジン(オラスポア)、セフロキシムアキセチル(オラセフ)、塩酸セフカペンピボキシル(フロモックス) |
| ◇ペネム系製剤 | ファロペネムNa(ファロム) |
| ◇マクロライド系製剤 | ロキシスロマイシン(ルリッド)、クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド) |
| ◇リンコマイシン系製剤 | 塩酸リンコマイシン(リンコシン)、クリンダマイシン(ダラシン) |
| ◇テトラサイクリン系製剤 | ミノサイクリン(ミノマイシン) |
| ◇抗結核剤 | |
| イソニアジド系 | イソニアジド(イスコチン、スミフォンなど)、イソニアジドメタンスルホン酸Na(ネオイスコチン) |
| ◇ST合剤 | (バクタ、バクトラミン) |
| ◇抗ウイルス剤 | アシクロビル(ゾビラックス)、塩酸バラシクロビル(バルトレックス)、イノシンプラノベクス(イソプリノシン) |
| ◇筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療剤 | リルゾ−ル(リルテック) |
| ◇ニュ−キノロン系製剤 | エノキサシン(フルマ-ク)、塩酸シプロフロキサシン(シプロキサン)、塩酸ロメフロキサシン(バレオン、ロメバクト)、オフロキサシン(タリビット)、
スパルフロキサシン(スパラ)、トシル酸トスフロキサシン(オゼックス、トスキサシン)、ノルフロキサシン(バクシダ-ル)、フレロキサシン(メガロシン)、レボフロキサシン(クラビット) 注)シノキサシンには記載なし |
| 注) *印:インタ-フェロン-αの併用例で間質性肺炎の発現が多いので併用禁忌 インタ−フェロン-α製剤 インタ-フェロン-α :オ-アイエフ、INFαモチダ、スミフェロン インタ-フェロン-α-2a:キャンフェロンA、ロフェロンA インタ-フェロン-α-2b:イントロンA |
|
| 番号 (年月) |
内 容 ( 当 該 商 品 名 ) |
| 68(S.59.08) | ペニシリン系抗生物質による間質性肺炎 (経口剤:クルペン、アモリン、サワシリン、パセトシン、ソルシリン、ビクシリン、ペントレックス等) (注射剤:結晶ペニシリンGカリウム、メトシリンS、ゼオペン、ビクシリン、ペントレックス等) |
| 90(S.63.04) | 金チオリンゴ酸ナトリウム(シオゾ−ル)による間質性肺炎 |
| 105(H.2.11) | イミペネム・シラスタチンナトリウム(チエナム)投与と間質性肺炎、PIE症候群 |
| 107(H.3.03) | 小柴胡湯と間質性肺炎 |
| 111(H.3.11) | 漢方薬の副作用(小柴胡湯、柴朴湯と間質性肺炎など):解説 |
| 118(H.5.01) | インタ−フェロン-α製剤及び小柴胡湯と間質性肺炎 |
| 125(H.6.03) | インタ−フェロン-α製剤及び小柴胡湯と間質性肺炎 →警告 |
| 131(H.7.04) | メトトレキサ−トと間質性肺炎 |
| 138(H.8.07) | G−CSF併用ガン化学療法後の間質性肺炎 |
| 146(H.10.03) | 漢方製剤*の間質性肺炎 *:小柴胡湯、柴朴湯、柴苓湯、柴胡桂枝乾姜湯、辛夷清肺湯、清肺湯、大柴胡湯、半夏瀉心湯 |
| 149(H.10.08) | ベラプロストNa(ドルナ-、プロサイリン)による間質性肺炎 |
| 158(H.12.01) | 小柴胡湯と間質性肺炎 |
| 162(H.12.09) | ウルソデスオキシコ−ル酸(ウルソ、ウルソサン)と間質性肺炎 |
小柴胡湯製剤が原因と考えられる間質性肺炎は、1989年に初めて報告された。この症例は高血圧症、糖尿病を伴う肝硬変患者であり、高血圧症に対する複数の薬剤とともに肝臓治療のために小柴胡湯が処方されていた。小柴胡湯製剤の再投与により咳、息切れ、発熱などの肺炎症状が発現し、投与中止により回復をみたことから、小柴胡湯製剤と間質性肺炎との関係が強く疑われた。
小柴胡湯製剤の添付文書では、「警告」欄に重大な副作用として間質性肺炎の記載があり、「禁忌(次の患者には投与しない)」として、インターフェロンα、β投与中の患者には使用禁忌となっている。
漢方薬による間質性肺炎の原因薬剤では小柴胡湯が殆どであり、多少とも肝機能障害のある患者に多いと推定されている。
漢方薬による間質性肺炎は、発症までの期間がやや長く、 2週〜1年 で、 4〜8 週が多い。
発熱、乾性咳嗽、労作時呼吸困難が主な症状で、胸部聴診では、fine Cracklesを聴取する。CRP等の炎症反応も高度で、血液ガスでは明かな低酸素血症を呈する。胸部X線では、びまん性のスリガラス状あるいは粒状網状陰影で、組織所見はいずれも間質性肺炎像である。胸部X線及び血液ガス所見上では、かなり重篤なものがあり、大量のステロイド投与(パルス療法)が必要なものがある。
厚生省の発表によると、1994年以降、小柴胡湯を服用していた慢性肝炎の患者88人が間質性肺炎を起こし、10人が死亡したと報告している。
小柴胡湯を服用して、間質性肺炎が起こることは、既に1991年、添付文書の使用上の注意の「副作用」の項に記載されており、現在では、その重要性のため、より注意を喚起するため[警告]欄に間質性肺炎の前触れ的症状の発現に対する注意が記載され、重大な副作用として間質性肺炎(発生頻度:0.1%未満) が記載されている。
漢方薬の副作用としては、胃腸障害 100人に 1人、薬疹 1,000人に 1人、肝機能障害10,000に 1人、カリウム濃度の低下は体質によって 1,000に 1人、間質性肺炎70,000人に 1人の割に起きていると言われている。
小柴胡湯による間質性肺炎の発現は、肝硬変・肝炎・肝障害を理由に服用した場合がほとんどであるから以下の点に注意する。
医療用・一般用:
服用後、咳、息切れ、呼吸困難、発熱などの場合には直ちに薬剤師・医師に連絡する。
インタ−フェロンの投与、肝障害の有無を確認する。
治療は、まず原因薬剤の中止が第一で、中止後も軽快しない時には、多くの場合、ステロイド療法が有効であり、早期のものほど反応がよい。
しかし、原因薬剤の投与を中止するだけで改善することもあるので、易感染性を始めとするステロイド剤の副作用を考えて、慎重に投与する。抗菌剤の併用とともにプレドニゾロン・漸減法、メチルプレドニゾロン・パルス療法が用いられる。
一般に次のように治療が行われる。
@酸素投与、呼吸管理
A急性間質性肺炎と診断されても、感染症の疑われる場合には、広域の抗生物質を投与する。
Bパルス療法を行う
メチルプレドニゾロン 1gの点滴投与を 7〜10日連続投与し、経過を観察する。
症状に応じてパルス療法を反復する。 ステロイド剤の経口投与は全く無効である。
Cウリナスタチンの投与
好中球の膜安定化作用、活性化の抑制作用のあるウリナスタチンの投与も試みられている。
投与前後で、血中好中球エラスタ−ゼ量に有意の変動が見られる。
しかし、臨床経過にどのように作用するかの評価は未だなされていない。
副作用軽減剤としては、ビタミンE、ユビデカレノン、ウロキナ−ゼ、ステロイド同時投与がある。なお、実験的に抗血小板剤も効果があると言われている。
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