7.坐薬の使い方
1.坐薬とは
「坐薬」とは主に肛門に挿入して作用させる左図のような形をした固形の薬のことを言います。
坐薬には、痔に用いられるような局所に作用させるものと、解熱などの全身への作用をあらわすものとがあります。
2.坐薬の正しい使い方
坐薬は肛門に挿入し、1/2量を用いる時は包装のまま斜めに切断します。
乳幼児には、上図のように両足を持ち上げた姿勢で、肛門内に深く入れて、4~5秒押さえておきます。
一般に中腰の姿勢で、坐薬を2/3まで挿入した時点で、立ち上がると、肛門括約筋の収縮によって、比較的簡単に入れることができます。また、起きあがれない人の場合は、横向きにして、脚を曲げさせ、坐薬を深く挿入してから脚を伸ばせば、容易に挿入することができます。
3.薬が肛門から吸収されるのですか
肛門内に挿入された坐薬は体温で溶けはじめ、肛門のすぐ上に位置する直腸から吸収されます。
その後、静脈血流中に入り、心臓を経由して全身循環します。
4.坐薬の利点は何ですか
次のような利点があります。
1.肛門内に直接作用させる場合は、軟膏を塗るだけでは薬が患部に十分到達せず、坐薬の適用が不可欠となります。
2.のみ薬に比べて一般的に、体内に吸収されてから、肝臓で分解される割合が少ないため、より有効な場合があります。
飲み薬で胃腸を悪くしやすい人でも坐薬であれば、胃粘膜への直接刺激による胃障害は起こさなくなります。また、のみ薬をいやがる乳幼児にも用いやすく、確実な効果が期待できます。
5.坐薬はどこに保管すればよいですか
薬の品質を保つためにできるだけ涼しい、直射日光の当たらないところに保管して下さい。
坐薬は体温で溶けて効果をあらわすように作られています。
保存の時の温度が体温より高くなると、柔らかくなり、特に、夏場は溶けることがありますが、薬の効き目に変わりはありません。
高温のため柔らかくなったり、溶けている場合には、図のように坐薬の先端(太い方)を下向きにして20℃以下の水につけて固めて使用します。
6.解熱用の坐薬を小児に使用する場合の注意点は
1.挿入して熱が下がらないからといって、追加しないで下さい。
通常は1~2時間で薬の効果があらわれますが、子供によっては遅い場合があります。
少なくとも4~6時間は間隔をあけて下さい。
2.肛門内に挿入すると、刺激により排便することがありますので、なるべく排便を済ませてから使用して下さい。
しかし、挿入が刺激となって再び排便することもありますから、確認を忘れないようにしましょう。
3.挿入直後の排便により薬が外へ出てしまった場合は、もう1回分使用することになります。
挿入して10~15分以後に排出した場合は、薬がどのくらい吸収されたのかわかりませんので、次の使用まで4時間以上の間隔をおいて下さい。
4.坐薬は、飲み薬と同等か、時にはそれ以上の有効性を発揮することもできます。
指示された用法、用量をよく守ることはもちろんのこと、使用に際して何かわからないことがあれぱ、医師または薬剤師にたずねるようにして下さい。