11.貼る心臓病薬の使い方
◎貼付型心臓病薬とは
皮膚に貼付することで皮膚から血中に取り込まれ、長時間にわたり安定した効果を維持することを目的とした薬剤です。
この薬は、発作の予防や治療に用いるものなので、いま起こっている発作を速やかに寛解させる薬ではありません。
◎貼付型心臓病薬の利点は何ですか
次のような利点があります。
1.のみ薬に比べて一般的に、体内に吸収されてから最初の段階で肝臓で分解される割合が少ないため、より有効な場合があります。
2.のみ薬で胃腸を悪くし易い人でも貼付型であれば、胃粘膜への直接刺激による胃腸障害は起こさなくなります。また、のみ薬でないため食事の影響を受けません。
3.この薬は、有効成分が皮膚より除々に吸収され、血中に取り込まれることで効果を発揮するものなので、皮膚から剥がすことによって薬物投与の中止ができます。
◎貼付型心臓病薬の正しい使い方は
- 医師の指示に従って使用して下さい。
- 傷や湿疹・皮膚炎のある場所、胸毛の部分には貼らないで下さい。
- 胸、腰、上腕のいずれか一カ所に貼って使用します。 あらかじめ貼る場所の水分や汗をよく拭き取ってください。
- 皮内刺激を避けるため、新しい薬に貼り替える時は、前回と同じ場所を避けて下さい。
- 包装を切るときは手で破って下さい。はさみは使用しないで下さい。 (製剤によっては、包装がないものもあります。)
- 胸、腰、上腕のいずれか一カ所に貼り、手のひら全体でしっかり押さえて下さい。
◎貼付したままで入浴してもいいの
症状によっては、先生から貼ったままでの入浴を指導される場合もあります。
しかし製剤によっては、入浴に適していないものがありますので、指導を受けていないのであれば、入浴前に剥がし、入浴後新しいものに貼り替える方がよいでしょう。
一度、主治医の先生にご相談下さい。
◎貼り替え時間でもないのに剥がれてしまったら
製剤によって、張り直しが可能であるものと、張り直しがきかないものがありますので、主治医の先生または薬剤師におたずね下さい。
◎どこに保管すれぱよいでしょう
高温を避けて遮光して保存し、開封後は速やかに使用して下さい。
また携帯時は、折り曲げないようにして下さい。
◎使用後の破棄は
使用後も薬の成分が残っていることがありますから、小児の手の届かないところに捨てて下さい。
◎貼付型心臓病薬を使用する場合の注意点は
1.医師の指示なしに勝手に投与を中止しないで下さい。(症状が悪化した症例が報告されています。)
2.投与開始時に、血管拡張作用により頭痛等の副作用が起こりやすくなります。このため注意力、集中カ、反射運動能力の低下が起こることもありますので、自動車の運転等に注意して下さい。
3.過度の血圧低下が起こった場合には、本剤を剥がし、横になり足を上げて、速やかに医師に連絡して下さい。
4.立ち上がったとき、低血圧となり、めまい、吐き気などが起きることがあるので注意して下さい。
5.飲酒により血管拡張作用が強まり、血圧低下を起こすことがありますので、注意して下さい。