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1.パーキンソン病

<パーキンソン病とは>

脳の神経系統の一つである、筋肉の運動や緊張を調整する働きをもつ錐体外路系に異常が発生して、手足の運動障害が起こる病気です。錐体外路の黒質で作られる神経伝達物質の“ドパミン”が何らかの障害によって減少するため、線条体(運動に関係する組織)からの指令が正しく伝わらなくなるためにおこります。


症状としては、「振戦」「無動」「筋固縮」という三つの代表的なものがあります。
「振戦」とは「安静時に手足が振るえる」という症状です。
「無動」は「動作がゆっくりになり、特に動作の開始に時間がかかる」、「歩行がゆっくりになり前かがみの姿勢になって転びやすくなる」、「顔が無表情になる」という症状です。
「筋固縮」とは「筋肉が硬くこわばる」という症状です。さらに、「書く文字が小さくなる」「便秘」「ものが飲み込みにくい」などの症状もみられます。


パーキンソン病とは違いますが、脳血管障害(脳出血や脳梗塞)や薬剤(精神安定剤やある種の胃腸薬など)によっても同じような症状が起こることがあります。その場合はパーキンソン症候群と呼びます。これらは本来は違う病気ですが症状が似ているため治療薬も同じものを用います。

<薬の種類とのみ方>

パーキンソン病の治療は、症状を抑えるための薬物療法が中心となります。

  • ◆L-ドパ製剤:

脳でドパミンに変わるL-ドパを含み、不足したドパミンを補って神経伝達の役割を果たします。L-ドパのみの薬とL-ドパの分解を抑制する脱炭酸酵素阻害薬を配合したL-ドパ配合剤があります。


主な副作用として、悪心、嘔吐が見られます。また、起立性低血圧や不整脈、幻覚や妄想などの精神症状が現れることもあります。

  • ◆ドパミン受容体刺激薬:

ドパミンの受容体に結合して脳内の情報を伝達します。作用の日内変動の発生が少なく、作用の持続時間が長いという特徴があります。


主な副作用として、悪心、嘔吐、食欲不振などの消化器症状が現れることがあります。また、不眠や妄想、めまいなどが見られることもあります。

  • ◆ドパミン分泌促進薬:

ドパミンを分泌する神経を刺激して、ドパミンの放出を促し、放出されたドパミンの再取り込みを抑制し、合成を促進する作用があります。初期の軽い症状に有効です。


主な副作用として、 めまい、ふらつき、立ちくらみが起こることがあります。

  • ◆抗コリン薬:

錐体外路系の線条体で、ドパミンと同様の働きをするアセチルコリンの活性を抑え、減少したドパミンとのバランスを取り戻させる働きがあります。筋固縮、振戦、無動に対して効果がありますが、特に振戦に有効といわれます。


主な副作用として、抗コリン作用があるため、心拍数の増加、発汗の低下、口の渇き、便秘、排尿困難、霧視(霧がかかったように見える)などが現れることがあります。中枢性の副作用として、幻覚、妄想、錯乱状態になることがあります。

  • ◆ノルエピネフリン前駆物質:

パーキンソン病では神経伝達物質のノルエピネフリンが不足するときもあるので、ノルエピネフリンを補って神経細胞を活性化させます。歩く時に足が前に出ないといった「すくみ足」などの症状を改善するためなどに用いられます。


主な副作用として、頭痛、頭重、胃の不快感、幻覚などが見られることがあります。


パ-キンソン病の治療には、以上の薬を組み合わせて使われる場合が多くなります。薬は個々のケ-スにより処方が異なります。今、現れている症状のうち、なにがいちばん不自由かを詳しく伝え、医師の指示に従って薬を服用することにより、患者さんの症状にあった薬の適正量が決まります。治療は生涯続けなければなりませんので、長期間服用しているうちに効果が薄れたり、副作用が現れたりした場合は、すぐに医師に相談して下さい。

<日常生活の注意点>

・薬の量を守る:薬の量やのみ方は医師の指示に従って下さい。状態がよいからといって、勝手に薬の量を減らしたり、服用を中止したりすると、症状が悪化することがあります。


・転倒事故、骨折の予防:パーキンソン病には、体のバランスがとりにくく歩行がスムーズに運ばないという特徴があります。前方に倒れて顔面にけがをしたり、転んだ際に骨折をしたりする場合があります。歩行先にイスなどの障害物を取り除き、通路を広くとるなど転倒事故を防止しましょう。


・昼寝をしない:眠ると、脳の線条体の働きが悪くなりますので、昼間はできるだけ活動的に過ごしましょう。


・毎日、散歩をする:手足を大きく振って歩くことを日課にしましょう。


・酢の物、食物繊維の多いものをとる:酢の物などで酸を補うようにしましょう。また、便秘を予防するためにも食物繊維の多いものをとるように心がけて下さい。 




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