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3.高血圧 

<高血圧とは>

血圧とは、動脈の中を血液が流れる時に、血液が血管壁を押す圧力のことです。
血圧=循環血液量×末梢血管抵抗、つまり循環血液量(心臓から拍出される血液量)と全末梢血管抵抗(細い動脈の収縮の程度)に左右されます。


血圧測定では、最高血圧と最低血圧を測定します。心臓が収縮するとき、血液が大動脈内に押し出され、大動脈がふくらみます。そのときに大動脈にかかる圧が最高血圧です。
次に心臓が拡張すると、ふくらんだ大動脈が元に戻ろうとし、その力で血液を末梢血管に送り出します。このとき大動脈にかかる圧が最低血圧です。


そこで、これ以上高い血圧が続くとよくないという一定の値を決め、最高血圧140(mmHg)以上、最低血圧90(mmHg)以上を高血圧というようになり、降圧目標としては、高齢者は140/90mmHg未満、若年・中年者は130/85mmHg未満、糖尿病患者・腎障害患者は130/80mmHg未満とされています。


高血圧症には、原因不明の本態性高血圧症と原因が明らかな二次性高血圧症(内分泌器官や腎臓の病気などによって起きる高血圧症)があります。


高血圧をそのままにしておくと、動脈硬化、脳卒中、心臓病、腎臓病などの原因となりますので、医師と良い関係を保ち、生活指導や薬の服用について指示を受けることが大切です。不明の点や困ったことは医師、薬剤師、栄養士などに相談して下さい。


<薬の種類とのみ方>

血圧を下げる薬としては、次の6種類が挙げられます。


「循環血液量を減らす薬」

◆β遮断薬:
心臓のポンプ作用を抑えて心拍出量を減らします。

主な副作用としては、徐脈(心臓の動きがゆっくりになりすぎる)、喘息発作、呼吸が苦しい、不眠、気分が落ち込む、むくみなど。

◆利尿薬:
体内の塩分と水分を尿中に出して、血液の総量を減らします。

主な副作用としては、ミネラル類のの排出過剰による低ナトリウム血症や低カリウム血症、脂肪や尿酸などの代謝異常など。



「血管を拡げる薬」

◆α遮断薬:

血管の緊張を緩和して、末梢血管の収縮を抑えます。

主な副作用としては、立ちくらみ、めまい、動悸、口の渇き、頭痛など。

◆ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬:

血管を収縮させて血圧を上げるアンジオテンシンⅡというホルモンが、ACEの作用によりつくられるた め、その作用を阻害して、血管の収縮を防ぎます。

主な副作用としては、空咳(痰のからまない咳)、味覚・聴覚異常、発疹、吐き気など。

◆アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬:

アンジオテンシンⅡが血管に働きかけるところを抑え、血管収縮を妨げて血管を拡げます。

主な副作用としては、めまい、ふらつき、立ちくらみ、頭痛、発疹、むくみなど。

◆カルシウム拮抗薬:

血管の収縮に必要なカルシウムの働きを妨げて、血管を拡げます。

主な副作用としては、頭痛、ほてり、顔面の紅潮、むくみ、吐き気、便秘、歯ぐきのはれ、動悸など。また、副作用が強く出ますので、グレープフルーツジュースで薬をのむことは止めて下さい。


薬ののみ方としては、2種類の薬を組み合わせると、降圧効果が高まります。また、1種類の薬を多量に服用するより、それぞれの薬の量が少なくてすみ副作用を軽減することもできます。


組み合わせの方法としては、「ACE阻害薬と利尿薬」「カルシウム拮抗薬とACE阻害薬」「利尿薬とβブロッカ-」「αブロッカ-とβブロッカ-」「βブロッカ-とカルシウム拮抗薬」などがあります。どのような組み合わせがよいかはそれぞれの患者さんに合わせて、医師が処方します。

<薬を服用している時の注意>

血圧を測定して、高ければすぐ薬をのむということはありません。まず、食事療法や運動療法などの一般療法をおこなって様子を見ます。そして、生活習慣の改善だけでは血圧の管理が難しい場合や合併症のある重症の高血圧の場合には、薬を開始します。


高血圧症の90%を占める本態性高血圧症の治療は、原因を除いて完全に治すものではなく、薬を用いて血圧を下げるものです。例えば、血圧が高くて頭痛や肩こりが起こった場合、薬を服用している間に症状がなおると、もう薬を減量したり、中止したりする事があります。しかし、これは薬によって一応、血圧が下がったからです。高血圧の原因を除いたわけではないので、服用をやめると血圧は再び上昇し、薬によっては急激な症状を示すものもあります。


血圧の薬は規則正しく、長期にわたって指示されたとおりに服用し続けなければなりません。また、血圧を下げる作用による「めまい」などを起こすものもあるので、高所作業、車の運転などには注意して下さい。

<食事療法と運動療法>

食事療法としては、塩分の摂取制限と体重コントロ-ルが重要です。塩分を多くとると体内水分量が増え、心臓から多くの血液が押し出されるようになり、また、全身の血管抵抗が増えて血圧が上昇します。肥満では、自律神経やホルモンのアンバランスが生じ、血圧上昇をおこします。


食塩の摂取量*は1日6g未満を目安とします。調理の際にも塩以外の調味料(ワサビ、ショウガ、コショウなど)を上手に利用しましょう。野菜、海藻、果物に多く含まれるカリウムは血圧降下作用があるので、高血圧予防の観点から、15歳以上では3500mg/日摂取することが望ましいでしょう。カルシウムにも同様の効果がありますので多くとるように心がけましょう。 


* 食品の成分表示に、塩分量の目安としてナトリウムの量が記載されている場合があります。
食塩は塩素とナトリウムから成り立っているため実際の食塩量として換算する場合には、ナトリウム量を約2.5倍する必要があります。

高血圧の予防を目的としたカリウムの食事摂取基準

(「日本人の食事摂取基準(2005年版)」)より
高血圧の予防を目的としたカリウムの食事摂取基準:目標量(mg/日)
性別 男性 女性
年齢 生活習慣病予防の
観点から見た望まし
い摂取量1
目標量 生活習慣病予防の
観点から見た望まし
い摂取量1
目標量
15~17(歳)
18~29(歳) 3,500 2,800 3,500 2,700
30~49(歳) 3,500 2,900 3,500 2,800
50~69(歳) 3,500 3,100 3,500 3,100
70以上(歳) 3,500 3,000 3,500 2,900
妊婦(付加量)  
授乳婦(付加量)
1米国高血圧合同委員会第6次報告が、高血圧の予防のために、3,500mg/日を
摂ることが望ましいとしている値。高血圧の一次予防を積極的に勧める観点からは、
この値が支持される。

運動療法としては、下肢や腕を大きくリズミカルに動かすものが良く、歩行、ジョギング、自転車、水泳などがあります。運動中に会話ができる程度の強さで1週間3~4回、1回30~50分位が適当とされます。軽い運動は血圧を下げ、体重コントロ-ルや脂肪の分解にも好影響をおよぼすので継続して行いましょう。ただし、心臓や腎臓などに病気のある方は運動の制限が必要なこともあるため、医師に相談して下さい。

<日常生活の注意点>

1.禁煙:血圧の高い人がタバコを吸っていると心筋梗塞や脳梗塞になる確率が高くなりますので、禁煙が必要です。


2.ストレス:できるだけストレスをなくし、気分転換や十分な睡眠に心がけて下さい。 


3.アルコール:習慣的な多量の飲酒は血圧を上げることになりますので、日本酒1~2合、ビール中ビン1~2本、ウイスキーシングル3杯程度(エタノールで男性は20~30mL/日以下、女性は10~20mL/日以下)までで、週に1~2日は休止日をもうけて下さい。


4.気温:寒い冬の日など、暖かい室内から寒いと外へ出たときなど寒さで血管が収縮して血圧が上がります。室内の温度は暖めすぎず、戸外へ出るときは寒さ対策を行うようにしましょう。また、入浴やトイレのときも同様の注意をして下さい。



<家で血圧を測るポイント>

血圧は1日のうちで上がったり下がったりします。タバコを吸ったり会話をしたりしても10mmHgくらいすぐ上がってしまい、逆に寝ているときは10mmHg以上下がったりします。


家で血圧を測るときは、いつも決まった時間に(例えば、起床時)測ることが大切で、15分ほど静かに座った後深呼吸を数回してからおしゃべりをせずに座った姿勢で測って下さい。また、家庭血圧の基準は、135/85 mmHg以上が高血圧、125mmHg/80mmHg未満が正常血圧とみなされます。

(c)東海四県薬剤師会情報システム委員会

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