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4.低血圧

<低血圧とは>

血圧とは、動脈の中を血液が流れる時に、血液が血管壁を押す圧力のことです。
血圧=循環血液量×末梢血管抵抗、つまり循環血液量(心臓から拍出される血液量)と全末梢血管抵抗(細い動脈の収縮の程度)に左右されます。


血圧測定では、最高血圧と最低血圧を測定します。心臓が収縮するとき、血液が大動脈内に押し出され、大動脈がふくらみます。そのときに大動脈にかかる圧が収縮期血圧(最高血圧)です。次に心臓が拡張すると、ふくらんだ大動脈が元に戻ろうとし、その力で血液を末梢血管に送り出します。このとき大動脈にかかる圧が拡張期血圧(最低血圧)です。


血圧が低いことがそのまま病的な状態であるとはかぎらないので、低血圧の基準も高血圧の基準ほどは重要視されておらず、臨床医によって意見の違いもあります。 現在、WHOでは世界共通の基準として、収縮期血圧100(mmHg)以下、拡張期血圧60(mmHg)以下を低血圧としています。


低血圧は原則として治療の必要はないとされますが、低血圧が疾患として問題になるのは、血圧の低下により各臓器へ送られる血液量が減少し、種々の自覚症状や臓器の機能障害が発現した場合になります。

<低血圧の症状>

低血圧の人が訴える症状は、立ちくらみ、めまいが一番多く、朝起き不良、頭痛・頭重、倦怠感・疲労感、肩こり、動悸、胸痛・胸部圧迫感、失神発作、悪心などの順に起こります。


このような低血圧症は一般に、男性より女性の方に多く、女性の血圧は、高齢に達するまでは男性より低くくなっています。

<低血圧の分類>

低血圧症には、特別な原因疾患を伴わずに血圧が慢性的に低い本態性(一次性)低血圧症と原因が明らかな症候性(二次性)低血圧症(心臓疾患やホルモン異常などによって起きる低血圧症)があります。
また、発病及び経過から急性低血圧、慢性低血圧、一過性低血圧、起立性低血圧、食後低血圧と分類することもあります。


◆本態性(一次性)低血圧:
「低血圧症」の約9割を占め、 特別な原因疾患を伴わずに血圧が慢性的に低い(一般に収縮期が100㎜Hg以下、拡張期が60㎜Hg以下)状態で、体質的な場合が多く、特に本人が悩まされている症状がなければ、病気とはいえません。


低血圧の人は、低血圧になりやすい遺伝的な体質の人が多く、一般に無力性体質を示し、やせ型で蒼白い顔色で神経質であり、疲労を感じやすく、冬は寒がりで冷え性など虚弱体質の人が多いとされます。内臓下垂を伴いやすいとされ、朝になっても、なかなか起き上がれず、急に立ち上がると立ちくらみがするなど、朝に弱いが午後になると調子のでる人が多いようです。


◆症候性(二次性)低血圧:
ケガによる大出血、心臓病、胃腸疾患による栄養不良、内分泌の異常、ガンの末期などで起こることがあります。


◆起立性低血圧:
急に立ち上がったときや体を動かしたときに立ちくらみを起こすなど、急激に血圧が下がる状態をいいます。下半身にたまった血液が心臓に戻りにくくなるために起こるもので、動作を起こす前に比べて動いた後の収縮期血圧が20㎜Hg以上または拡張期血圧が10~15㎜Hg以上低くなる場合で、高血圧の人でも起こることがあります。
原因から起立性低血圧には、特発性と二次性のものとがあります。


・特発性起立性低血圧症:
原因疾患は明らかではないが、神経系の障害により起こる起立性低血圧症で、めまい、立ちくらみ、嘔吐などの脳症状を起こし、症状が強い場合には失神することもあます。体重が減少すると起立性低血圧の程度は強くなり、起立性低血圧の約20%を占めるとされます。
朝礼などで倒れる子供が見られますが、これは血圧調節障害による低血圧で、大部分が起立性低血圧で心配はいりません。しかし頻回に起こる場合、ときには、てんかんや心臓障害が原因で起こる起立性低血圧による場合もありますので、脳波や心電図などによる精密検査をすることが望ましいでしょう。


・二次性起立性低血圧症:
原因疾患が明らかなものをいい、起立性低血圧の約80%を占めます。原因疾患としては、糖尿病が最も多く、内分泌疾患、心臓弁膜症、心筋症などの疾患が隠れている場合があります。また、服用している薬物(精神安定剤、精神刺激剤、レボドパなどのパ-キンソン病治療剤、降圧剤など)の影響による場合も考えられます。


◆食後低血圧:
食後に限って血圧が過度に低下する状態です。食後、消化のために胃に血液がたまり、心臓に戻りにくくなるために起こる低血圧で、高齢者の3人に1人、特に寝たきりのお年寄りなどが、食事の時に誤嚥を避けるために体を起こして食事をする場合にみられます。
症状としては、食後にだるくなったり、胃もたれや吐き気、眠くなったり、ひどいときは立ちくらみや失神もみられることがあります。このような場合、1回の食事量を少なくして回数を増やす、水分を多く、また高血圧でなければ塩分も適度にとるなどの食事の工夫をして、姿勢を変えるときはゆっくりと行動をして下さい。



<薬の種類とのみ方>

低血圧の治療は一般的注意(→<日常生活の注意点>)と薬物療法に分けられます。


◆昇圧剤:


通常昇圧作用としては、血管のα1受容体を刺激することにより、末梢血管の緊張を高め、血管を収縮させて血圧を上昇させる作用か心臓のβ受容体を刺激して心臓から出る血液量を増加させ血圧を上げる作用からなります。


昇圧剤の多くは、過量投与により過度の昇圧、頻脈、不整脈を引き起こし、中枢神経刺激作用によって、不眠、興奮状態を生じることがあります。


・塩酸ミドドリン(メトリジン)・・・動脈系に直接作用(α1受容体)して収縮させる。心臓や脳の血管には作用しない。
甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫のある患者には投与しない。
副作用として、過敏症、嘔吐、悪心、腹痛、動悸、胸が苦しい、頭痛、不眠、発疹等が起きることがある。


・塩酸エチレフリン(エホチ-ル)・・・交感神経(α1とβ受容体)を刺激し、血圧を上昇させる。
心不全の人には禁忌。
副作用として、嘔吐、悪心、胸が苦しい、動悸、頭痛、発疹等が起きることがある。


・メチル硫酸アメジニウム(リズミック)・・・間接的に交感神経機能を亢進して、血圧を上昇させる。
高血圧症、甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫、狭隅角緑内障、残尿を伴う前立腺肥大のある患者には投与しない。
副作用として、食欲不振、腹部膨満感、動悸、頭痛、不眠、発疹等が起きることがある。


◆その他:


・メシル酸ジヒドロエルゴタミン(ジヒデルゴット)・・・静脈系に作用して血管を収縮させる。
末梢性・閉塞性血管障害、狭心症、緑内障のある患者または、妊婦には投与しない。
副作用として、発疹、悪心・嘔吐、不眠、口の渇き等が起きることがある。


・抗不安剤・・・全身倦怠、めまい、腹部不快感、頭重・頭痛などの症状に対して、自律神経の緊張性を緩解したり、精神を安定させる。



<日常生活の注意点>

1.規則正しい生活をする:過労を避け、十分な睡眠をとって、規則正しい生活をするように心がけて下さい。


2.運動して筋肉を鍛える:本態性低血圧症の場合は、筋肉の鍛え方が足りないとか、長時間の起立に慣れないなどの、肉体的、精神的な訓練不足が原因の場合が多いので、水中ウオーキング、エアロビクス(有酸素運動)など適当な運動を行って下さい。運動は運動量の少ないものから、自分のペ-スに合わせて、徐々に増量するようにして下さい。


3.水分を多めにとる:水分は多めにしっかりととり、食塩も適当に摂取して下さい。


4.バランスのよい食事:偏食を避け、タンパク質を多くし、ミネラル、ビタミンの豊富な食品をとり、バランスのよい食事をするよう心がけて下さい。


5.動作はゆっくりと行う:起立性低血圧の人は、めまいや失神発作を予防するために、睡眠時には頭部をやや高くして、寝ている状態から起きあがるときは、足首の運動を行い、血の巡りを良くしてからゆっくりと起きあがって下さい。


6.食後にカフェインをとる:食後低血圧の人には、一度に食べる量を少なくして回数を多くとったり、食後にお茶やコーヒーなどのカフェインをとるとよいでしょう。カフェインは、交感神経を刺激して、血液のめぐりをよくします。ただし、カフェインをとることにより、眠れなくなったり、耐性を心配する人は、食後にこだわらず、朝食前にだけとるようにしてもいいでしょう。


7.温度差に注意:部屋を暖め過ぎたり、冷やし過ぎたりせず、戸外との寒暖の差をあまりつくらないよう、室温を調節して下さい。


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