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6.便でわかる体の調子

便は体の調子を判断する身近なものです。
あまり見たくないものですが、ここで少し便を観察してみましょう。

*チェックポイント*

排便回数、排便量、性状(水様、ドロ状、兎糞状)、混入物(粘液、膿、血液)、食事内容、生活態度

排便回数


1日3回から1週3回程度の回数なら正常範囲内で、1日1~2回です。



便の量


食べるものの量や種類によって違ってきますが、植物性の食物を多く食べる人では量が多く軟らかい便で、肉類を多く食べる人では乾燥した少ない便をする傾向があります。1日の量の平均は100~200gぐらいで、重さの2/3が水分、1/3は腸内細菌、セルロースや不消化物、胃や腸の分泌物や剥離した細胞からなります。脂肪の排出量は約2g程です。



性状


健康な便・・・黄褐色のバナナ状または半練り状でにおいが少なく、するりと出るソフトなもの。

ドロ状、水様性・・・下痢です。水様性の場合、粘液、血液、膿などが混じると細菌性赤痢や伝染性下痢、アレルギー性などが考えられます。

兎糞状の便・・・ウサギの糞のようなコロコロとした便が出る場合は、大腸のどこかがけいれんしているけいれん性便秘が考えられます。

太くて硬い便・・・排便時に便柱が太くて硬い場合は、大腸の運動が低下している弛緩性便秘が考えられます。

硬くて断片的な便・・・たびたび便意をこらえることによって、直腸の感受性が低下して起こります。



におい


食べた物や疾患によって影響されますが、においのもとは腸内細菌によってたんぱく質が分解された結果できるスカトール、インドールという物質によります。腸の働きが弱いときはにおいは弱くなり、便秘などで腸内の滞留時間が長くなると、においが強くなります。また、未消化たんぱくはアルカリ性のにおい、未吸収の炭水化物は発酵して酸性臭、肉食が多いときは腐敗臭、脂肪便は酸性臭、膵疾患や直腸ガンでは特に強いにおいを発します。





黄褐色・・・正常な便の色調です。これは胆汁色素ビリルビンによると考えられています。

黄色・・・高度の下痢便などで見られます。牛乳の多飲、ダイオウ末、センナの下剤の服用や脂肪便のときでも見られます。

茶~茶褐色・・・食べ過ぎ、飲み過ぎの場合。

濃褐色・・・便秘の時や肉類の多い食事で見られます。また、ココアやチョコレートを大量に食べる人でもこの様な色になります。

黒色・・・上部消化管の出血でコールタールに似ているため、タール便ともいいます。50~75ML以上の出血で便を黒色にし、1000ML以上の出血は2~3日続いてタール便となります。また、イカ墨料理、ビスマス剤、鉄剤、薬用炭も黒色便になります。

緑色・・・母乳の赤ちゃんの便や緑色を呈したクロロフィルを多く含む緑色野菜を大量に食べる人の便は、緑色になります。

赤色・・・赤色は出血した場所が肛門に近いほど新鮮血を呈します。痔核や肛門裂傷は血液そのものの新鮮血で、S状結腸や直腸よりの出血は、新鮮血と凝血した血液の固まりを含んでいます。上行結腸や横行結腸よりの出血は濃紫色、血液が便の周囲に付着しているのは直腸や肛門よりの出血と考えられます。

赤黒いゼリーのようなものは、腸重積の疑いがあります。

灰白色・・・胆汁の出が悪いか、胃透視時のバリウムによるものです。腸結核、膵疾患でもこの様な色になります。


*便の色に影響を及ぼす薬剤*
白色・・・透視用バリウム

銀白色・・・水酸化アルミニウム(制酸剤)などのアルミニウム塩

白色残渣・・・バルプロ酸ナトリウム徐放剤(抗てんかん剤・賦形剤の一部が溶解せず排泄されるため)

黒色・・・ビスマス塩製剤(下剤)、硫酸鉄(鉄剤)、プロトポルフィリンナトリウム(慢性肝疾患治療剤)、薬用炭(吸着剤)

緑色・・・クロロフィル配合剤(消化潰瘍治療剤)

赤色・・・セフジニル(抗生物質・粉ミルク、経腸栄養剤など鉄添加製剤との併用で着色)、フェノバリン

赤色~黒色・・・ワルファリンカリウム(抗凝血剤・胃腸出血の徴候)

橙赤色・・・リファンピシン、リマクタン(抗結核剤)



特徴ある便


米のとぎ汁のような乳白色・・・コレラ特有の便の症状です。乳幼児の場合はロタウイルスが疑われます。

いちごゼリー状・・・アメーバー赤痢に特徴的です。

タール便・・・上部消化管からの出血が疑われます。


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