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愛知県薬剤師会事務局

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TEL 052-953-4555
FAX 052-953-4556

8.糖尿病

<糖尿病とは>

糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンの働きが低下したり、分泌量が不十分なために血糖が高い状態が持続する病気です。
糖尿病はインスリンの分泌量が絶対的に不足する「インスリン依存型」とインスリンの分泌はあるものの、その働きや量が不十分なために起こる「インスリン非依存型」の二つに大別されます。
いずれの場合でも高血糖が続くと細い血管が障害を受け、腎臓、末梢神経の障害や眼底出血などの合併症が起こりやすくなったり、脳血栓や心筋梗塞も起こりやすくなります。

<薬の種類とのみ方>

1.経口糖尿病剤


◆スルホニル尿素剤:


膵臓のβ細胞に作用してインスリンの分泌を促進したり、インスリン受容体の数を増加させたりします。そのほか血糖値を上昇させるグルカゴンの分泌も抑制します。

主な副作用として、低血糖(薬が効きすぎて血液中のブドウ糖濃度が下がりすぎること)になると強い空腹感、脱力感、発汗、手足のふるえなどが起こります。溶血性貧血(血液中の赤血球が壊されて起きる貧血)が起きることもあります。また、光線過敏症、胃腸障害などが生じることがあります。


◆ビグアナイド剤: 

スルホニル尿素剤だけでは血糖値が下がらない時に併用される薬で、末梢でのインスリン作用を増強すると考えられます。

主な副作用として、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、便秘などの消化器症状が現れることがあります。まれに乳酸アシド-シスが起こることがあります。乳酸アシド-シスとは、血液中に多量の乳酸がたまり、体液が著しく酸性に傾いた状態です。症状としては吐き気や嘔吐が現れます。低血糖にも注意が必要です。


◆α-グルコシダ-ゼ阻害剤: 


食事中の炭水化物の消化を遅らせる働きがあります。ブドウ糖や果糖への分解が遅くなり食後の急激な血糖の上昇を抑えます。必ず食事の直前に服用して下さい。


主な副作用として、腹部膨満感や排ガス(おなら)が増えたりします。低血糖にも注意が必要です。強い空腹感、脱力感、手足の震え、発汗などが起こった時は砂糖ではなくブドウ糖をとって下さい。


◆インスリン抵抗性改善剤: 


体のインスリン受容体の感受性を高め、また受容体の数を増やすことによってインスリンの作用効率を高める働きがあります。


主な副作用として、低血糖が起こることがあります。こんな時には砂糖をとって下さい。貧血や浮腫が起きたり、吐き気、嘔吐、下痢などが現れることがあります。


◆インスリン分泌促進剤: 


従来のスルホニル尿素剤と異なる構造を持ち、インスリンの分泌を促進します。吸収が早く、短時間に作用が消失することから、主として食後の血糖の上昇をおさえる目的で使われます。服用後、速やかに効果が発揮されるため、毎食前10分前にのむようにして下さい。


副作用として、低血糖が起こることがあります。このような時には、砂糖又はブドウ糖をとって下さい。その他には、お腹がはる、おならがでる、下痢、軟便などの消化器症状が起こることがあります。


2.インスリン


◆インスリン製剤-注射-: 

インスリンは体の中でできるホルモンの1つです。筋肉や脂肪組織でのブドウ糖の取り込みを増加させたり、肝臓からのブドウ糖の放出を減少させることによって血糖値を下げます。インスリン製剤は、体の中のインスリン不足を補います。原則として患者本人が自分で注射します。インスリンの種類、量、注射の時刻については主治医の指示に従って下さい。


主な副作用として、インスリンの注射量が多すぎたり、規則正しい食事をとらなかったり、激しい運動をした時などに低血糖が起こることがあります。


3.合併症治療剤


◆アルド-ス還元酵素阻害剤: 


血糖値が高いと、アルド-ス還元酵素の働きが高まって糖(ソルビト-ル)が末梢神経に蓄積し、手足のしびれや痛みの症状が起こります。そこでアルド-ス還元酵素の働きをおさえて症状を改善します。


主な副作用として、過敏症として皮膚の発疹のほか、下痢や吐き気、嘔吐などが現れることがあります。また、尿が黄色から赤色がかってきますが心配ありません。





<食事療法>

食事療法の原則は栄養のバランスをとりながらカロリ-制限をすることです。あなたの標準体重はあなたの身長(m)×身長(m)×22です。(身長160㎝の方なら1.6×1.6×22=56㎏) この値に生活強度や肥満度を考慮して25~35をかけた値が1日に必要な総カロリ-です。


次に食事内容のバランスです。食品を1群~6群に分類し、80KCAL を1単位と決めて四大栄養素をどの食品群からとればよいかを示します。


1群:穀類、芋類、糖質の多い野菜、大豆以外の豆類


2群:果実類


3群:魚類、肉類、卵、チ-ズ、大豆


4群:牛乳、ヨ-グルト、生クリ-ム、アイスクリ-ム


5群:食用油、バタ-、マ-ガリン


6群:野菜類、海藻類、キノコ類、こんにゃく


これらの食品を1日に2、4、6群は1単位ずつ、1、3、5群は個人差があるため医師から示された量に従ってとって下さい。

<運動療法>


適切な運動は肥満を解消し、インスリンの働きを高め効率良く血糖を下げるのに役立ちます。
それには1日1万歩歩くこと勧めます。
男子で7~8㎞(女子で6~7㎞)になりますが、毎日少しずつ歩数を増やしていけば誰でも実行できます。
時間のないときには朝と夕の20分の速足歩きや筋肉トレ-ニング(腕立て伏せ、ストレッチ、屈伸運動)を行うとよいでしょう。

<合併症とその管理>

1.糖尿病性網膜症
網膜の細い血管に障害が起こります。視力に直接関係しないので、自覚症状がなか なか出ないために眼底検査で初めて気づくことがよくあります。初期には血糖コントロ-ルをよくして治療できますが、進行すると急激な血糖コントロ-ルにより、かえって網膜症が悪化し、失明に至るような眼底出血を引き起こすことがあります。


眼底検査は、20歳未満で網膜症のない方は年に1回で十分です。20歳以上で現在網膜症のない方、良性網膜症の方は年に2~4回検査が必要です。全身状態に変化があった時や、悪性網膜症の方は毎月1回検査が必要です。



2.糖尿病性腎症
腎臓の細い血管の働きが悪くなるために起こります。初期には尿の蛋白が検出されず、障害が進むにつれて、尿中にいろいろな蛋白成分が増えてくるのが特徴です。しかし最近では、アルブミンの測定により腎障害の程度がわかるようになってきました。



3.糖尿病性神経障害
手足のしびれや痛み、何かにさわると不快な感触がある、もう1枚皮をかぶせられたような気がするというような症状です。めまい、発汗、便秘や下痢を繰り返す、インポテンツなどの自律神経異常が見られます。血糖コントロ-ルが良くなると、症状が改善されることがよくあります。




糖尿病は一生つきあっていく病気です。食事療法を基本に薬を正しくのみ続けていくことが大切です。







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