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14.逆流性食道炎

<逆流性食道炎とは>

逆流性食道炎とは、胃液が食道に逆流して、食道の壁に炎症などを起こすことにより、「胸やけ」、「つかえ感」、「胸痛」などの症状を示します。


胸やけは、逆流性食道炎でもっとも訴えの多い症状で、ほぼ毎食後起こることが特徴とされています。また、胃液がのどや口にこみ上げて酸っぱい感じがする呑酸もよく起こる症状です。

<逆流性食道炎の成因>

特定の原因だけで起こることはほとんどありませんが、次のような原因がいくつか重なって引き起こされます。


①胃液の逆流を防ぐ機能の低下:
加齢などにより、胃液の逆流を防ぐ胃とつながる食道下部の括約筋の緩み


②食道の蠕動運動の低下:
逆流してきた胃液を胃に送り込むのが遅れ、食道内にとどまる時間が長くなる


③腹圧の上昇:
肥満やお腹を締め付けたりすることにより胃が圧迫され、胃液を逆流しやすくなる


④胃液の分泌増加:
胃液の分泌が多くなると、逆流が起こったときに食道粘膜が傷つけられやすい


*ヘリコバクター・ピロリと逆流性食道炎
ヘリコバクター・ピロリに感染すると、胃の粘膜に炎症が起こり、酸分泌細胞の働きが悪くなるために胃液の分泌が少なくなるます。しかし、ヘリコバクター・ピロリを除菌すると炎症が治り、酸分泌細胞の作用も亢進し、胃液の分泌も増加することで、逆流性食道炎が増える可能性も考えられます。


⑤食物摂取量の増加:
食べ過ぎたり、脂肪の多い食事をとると胃がもたれて働きが悪くなり、胃と食道の間にある「噴門」が開きやすくなります。空気がでれば「げっぷ」、胃液がでれば「逆流」になります。また、老化によっても噴門の締まりが悪くなり、逆流が起こりやすくなります。




<薬物治療>

逆流性食道炎の薬物治療は、症状を和らげる対症療法が主で、完治させるものではありません。従って、症状が改善された後も長期にわたってのみ続ける必要があります。


治療薬としては、「胃酸分泌抑制剤」、「消化管運動機能改善剤」、「制酸剤」、「粘膜保護剤」が使われます。


◆胃酸分泌抑制剤:


胃酸の分泌を抑える薬で、プロトンポンプ阻害剤(PPI)、H2ブロッカーなどがあります。
プロトンポンプ阻害剤(PPI)は、胃壁の酸を作るプロトンポンプに直接働いて胃酸の分泌を抑える薬で、現在最も強力な胃酸分泌抑制剤です。


◆制酸剤:


胃酸を中和する薬で、胃酸分泌抑制剤と併用して使われることが多いです。


◆消化管運動機能改善剤:


食道の運動をよくする薬で、逆流してきた胃酸を押し戻す働きを高めます。




<日常生活の注意点>

逆流性食道炎の治療には、日常生活の改善も重要です。特に次のことに注意して下さい。


・腹圧が上がることを避ける・・・・・前屈みの姿勢、排便時の力み、ベルトや帯びでお腹を締め付ける、重い物を持つなどの腹圧を上げることを避けて下さい。


・胸やけを起こしやすい食品の量を減らす・・・・・脂肪の多い食物、チョコレートなどの甘いもの、柑橘類、コーヒー・紅茶、香辛料、アルコール類、タバコなどは胃酸の分泌を高め、逆流を起こしやすくします。


・食べ過ぎ、食後すぐ横にならない・・・・・過食は、胃酸の分泌や胃内の圧を上げますので「あっさりとしたものを適量」にとどめ、また、食後すぐ横になると胃酸が逆流しやすいので、食後1~2時間は横にならないように心がけて下さい。


・上半身を高くして寝る・・・・・寝るときに胸やけが強い場合は、寝る前の食事は避け、夕食の量は少な目にして、胸の中央部から上を高くして寝ると効果的です。横向きに寝る場合は、右側臥位は避ける様にして、うつぶせ寝は、良くありません。



(c)東海四県薬剤師会情報システム委員会

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