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愛知県薬剤師会事務局

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20.歯周病

歯科領域の2大疾患は、う蝕(虫歯)と歯周病で、歯を失う原因の4割がう蝕、5割を歯周病が占めています。 


歯を失うことにより咀嚼能力が低下し、栄養バランスが崩れ、生活習慣病(がん、糖尿病、脳血管疾患、心疾患)のリスク因子となることが明らかにされています。そのため生活習慣の予防を目的とする国民運動である「健康日本21」の9つの対象分野の一つに「歯の健康」として位置づけられています。

<歯周病とは>

歯周病とは歯肉炎、歯周炎の総称で、歯を支えている歯周組織である歯肉や歯根が埋まっているあごの骨(歯槽骨)、セメント質が歯肉の周りの細菌に感染して炎症を起こし、痛みを伴わないため気づかないうちにじわじわと組織を破壊していく病気をいいます。


かつては「歯槽膿漏」と呼ばれており、中高年の病気と思いがちですが、1999年の厚生労働省の調査によると、5~14歳で約4割、25~34歳では約8割の人が歯周病にかかっており、45歳以上ではその半数が歯周炎にまで進行しているという結果が出ました。このように歯周病はもはや国民病といえます。


口腔内には400種類、100億を超える細菌が存在し、これらが歯の表面や歯と歯の間に集まって付着(バイオフィルム)して、デンタルプラーク(歯垢)を形成します。このプラークの中の細菌は歯と歯肉の間などの空気に触れないところで増殖し、有害物や毒素を出して炎症を起こさせます。またこれら細菌の死骸に唾液中のカルシウムやリンがしみこみ歯石となります。


バイオフィルム:
カビや細菌などの微生物が物体の表面に付着して増殖し、分泌物や沈着物とともに表面を覆ってしまう膜のこと


<発症・進行要因>

歯周病の原因であるプラークを増殖させたり、悪化を早める要因として次のことが考えられます。


①細 菌 :細菌数、唾液量(減少)、唾液中のカルシウム・リン量
唾液の減少・・・唾液の自浄作用や殺菌作用が低下する


②全身因子:遺伝、肥満、糖尿病、骨粗鬆症、高血圧・心臓病治療薬(カルシウム拮抗薬)、妊娠、老化、性ホルモンの不調和
糖尿病・・・血糖値の高い状態が続くと歯肉の血行が悪くなり感染が起こりやすくなる。また傷も治りにくい
骨粗鬆症・・・骨がもろくなっているため、歯槽骨も溶けやすい
カルシウム拮抗薬・・・歯肉がむくむという副作用があるためブラッシングがしにくく、プラークが付着しやすい


③環境因子:正しい歯磨き習慣、喫煙、ストレス・睡眠不足・過労、不規則な生活・生活習慣、栄養の偏り
喫煙・・・ニコチンや煙が免疫機能を低下、毛細血管を収縮させて歯肉の血行が悪くなり、炎症を悪化させる
ストレス・睡眠不足・過労・・・病原菌に対する免疫力を低下させる


④局所因子:不正な咬み合わせ、不良習癖(口呼吸、歯ぎしり)、不適合な冠



<歯周病の症状>



プラークを放置しておくと、次のような段階で歯周病が進行していきます。

 

進行(STEP) 自覚症状

健康な歯周組織
歯肉はピンク色で引き締まり、弾力がある
歯を磨いても出血しない
歯と歯肉の間には1~2mmの溝がある

歯肉炎
歯肉が炎症を起こし、赤く腫れる
歯磨きで出血する
歯と歯肉の間の溝が深くなり「歯周ポケット」ができる

歯周炎
歯肉炎が歯周炎に進行
炎症が歯根膜、歯槽骨まで広がり、歯槽骨の吸収が始まる
歯周ポケットが4mm以上になると歯石ができ、そこに新しいプラークが付着する
口臭がひどい、冷たいものがしみる、歯の根が露出する、歯がぐらぐらする

歯が抜ける
歯周ポケットが10mm以上になり、歯槽骨が溶け、歯は支えを失って抜ける

歯周病危険度チェック

 

起床時に口の中がねばつく   寝ている間に膿が出たり出血している
口臭指摘されたことがある  歯周病菌が繁殖している
歯の間に食べ物が挟まる  歯肉がやせて、隙間ができている
歯肉から血が出る  歯肉炎の症状
歯肉の腫れ、痛みがある  歯周炎の症状
ぐらつく歯がある  歯周炎が重症化して、歯槽骨が溶けている

①~④までは軽症で、すぐに治療すれば短期間に治せる
⑤~⑥は重症化しているので、本格的な治療が必要

<全身への影響>

歯を失うことにより、咀嚼能力や生活の質の低下を招くことになります。また口腔内の歯周病菌が体内に運ばれ他の臓器に影響を及ぼすことがあります。


・動脈硬化・虚血性心疾患・・・歯周病菌による酸化ストレスや菌がもつ血小板凝固因子等により血栓形成を招く


・心内膜炎・・・弁膜障害のある場合などにはその部位に歯周病菌が付着して増殖し、細菌性心内膜炎を起こす


・糖尿病の悪化・・・炎症性サイトカインが産生され、インスリン抵抗性を増す


・誤嚥性肺炎・・・高齢に伴い嚥下反射と咳嗽反射*が弱くなり口腔内の細菌を誤嚥**することで肺炎を起こす


・低体重出産・早産・・・歯周病菌の毒素によって作られるプロスタグランジンE2という物質が血液を介して膣内に作用して子宮の収縮、子宮頸部の拡張が起こり早産を引き起こす


*咳嗽反射:
気道の異物や分泌物を生理的防御反応として咳によって排除させる、生理的反射をいう


**誤嚥:
食べ物や唾液が誤って気管に入ること


<予防>

歯周病菌は特定されていないため、第一の予防は、歯周病菌の感染を受けないようにすることです。そのためには、細菌を除去するために歯磨きが効果的です。歯ブラシ以外にも歯間ブラシやデンタルフロスなどの補助用具を使用することで効果も上がります。


<治療>

バイオフィルムを形成しているプラークを歯ブラシや治療器具で機械的に除去することが必要です。特に歯肉炎の段階であればブラッシングで治すことができます。


残念ながら抗菌剤は、バイオフィルム中へ浸透することができず、殺菌効果を発揮することができません。 


(1)基本治療:
・プラークコントロール
・歯石除去(スケーリング)


(2)外科的処置:歯周ポケットが約5mm以上深くなると基本治療では難しくなり、外科的処置が必要となります。
・フラップ手術(歯周ポケットの奥深くにあるプラークや歯石を歯肉を切開し、取り除く方法)
・骨移植(溶けた歯槽骨部分に人工骨を移植する方法)


(3)再生療法:喪失した付着組織の再生が目的です。現在では保険は適応されていません。
・GTR療法(フラップ手術の後、人工素材で作られた遮へい膜を歯肉の内側に置き、歯根膜や歯槽骨を再生させる)
・エナメルマトリックスたんぱくを使う方法(フラップ手術の後、歯根の表面に特殊なたんぱくを塗りつけ、歯根膜や歯槽骨を再生させる)

<日常生活の注意点>

1.正しい歯磨き:プラークを口の中から減らす(プラークコントロール)には正しい歯磨きが必要です。歯1本につき20回、最低1日1回は、10分以上磨くように心がけて下さい。また、歯間ブラシやデンタルクロスなどを使うとより効果的にプラークを除去できます。 


2.禁煙:喫煙は歯周病最大のリスクファクターで、タバコを吸うことにより歯周病は2~8倍かかりやすくなると報告されています。ニコチンや煙は免疫機能を低下させたり、毛細血管を収縮させて歯肉の血行が悪くなり炎症を悪化させます。


3.過労やストレスをためない:過労やストレスがたまると免疫力が低下しますので、歯周病にかかりやすくなります。


4.良く噛んで食べる:良く噛まずに食べないと唾液が十分に分泌されず、細菌が繁殖しやすくなります。繊維性や固いものを良く噛んで唾液の分泌を促しましょう。


5.定期的な歯科検診:歯石の除去は、歯科医の受診によって行う必要があります。定期的な歯石除去や歯面清掃等の予防処理、指導を受けましょう。


6.8020の実現:生涯にわたり自分の歯を20歯以上保つことにより健全な咀嚼能力を維持し、健やかで楽しい生活を過ごそうという8020運動が提唱・推進されています。この運動を目標に歯の喪失を防止しましょう。






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