5.ビタミン
食事摂取基準|ビタミンA|ビタミンB群|ビタミンC|ビタミンD|
ビタミンE|ビタミンK
ビタミンは、体内で十分に合成することができなため、健康や正常な生理機能を保つために食物などから摂取しなけれぱならない必須栄養素です。
ビタミンは脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンに大きく分けられます。
脂溶性ビタミンは体内に蓄積されやすいので、欠乏症が起こりにくい反面、大量にとった場合過剰症が起こることがあります。
これに対し、水溶性ビタミンは熱に弱く、水に溶けやすく、多く摂取しても尿中に排泄されるため欠乏症になりやすいといえます。
ビタミンの種類 (化学物質名) |
どんなはたらき | 不足するとどうなる | 過剰摂取による健康障害 |
多く含む食べ物 |
|
脂溶性 | ビタミンA (レチノール) |
視力に関係 皮膚や粘膜の保護 |
とり目、角膜乾燥症、角化症 | 頭痛、めまい、発熱、吐き気、顔面のむくみ、脱毛、皮膚の剥離や痒み、四肢の痛みや腫れ、食欲不振 | レバー、マーガリン、緑黄色野菜(人参、パセリ) |
ビタミンD (*-1) |
カルシウムの吸収促進 骨を作る細胞の活性化 |
くる病、骨・歯の発育不全 | 高カルシウム血症、腎臓結石、興奮、不眠、頭痛、食欲不振、悪心、吐き気、脱力、倦怠、疲労、頭痛、口の渇き、意識混濁、下痢 | 魚類(イワシ、カツオ、ウナギ)、レバー | |
ビタミンE (トコフェロール) |
細胞膜の機能の維持 脂肪代謝に関係 |
神経・運動機能の低下、溶血性貧血 | 過剰症はほとんど認められない(下痢、腹痛、疲労、頭痛) | 植物油、大豆 | |
ビタミンK (*-2) |
凝固因子の合成 骨の形成 |
出血傾向、骨粗鬆症 | 溶血性貧血、吐き気、軟便 | K1:緑色葉菜(ホウレン草、ブロッコリー)、海藻類、茶 K2:納豆、肉、卵、牛乳、チーズ |
|
水溶性 | ビタミンB1 (チアミン) |
糖分やアルコールの分解 神経機能の維持 |
かっけ(しびれ、むくみ) 酒の飲み過ぎによるB1欠乏では脳の異常 |
ふるえ、ヘルペス、神経症、脈拍の増加、アレルギー | 強化米、豚肉、豆類 |
ビタミンB2 (リボフラビン) |
アミノ酸の代謝に関係 皮膚、粘膜の保護 |
口角炎、舌炎、眼の疲れ、皮膚のかさかさ | 吐き気、軟便、下痢 | レバー、牛乳、卵 緑色葉菜(しその葉、ホウレン草) |
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ビタミンB6 (ピリドキシン) |
アミノ酸の代謝に関係 神経機能の維持 |
口角炎、舌炎 皮膚のかさかさ 末梢神経炎(手足のしびれ) |
手足のしびれ、知覚異常、痛みや振動感、疲労、神経過敏 | 肉類、米、パン、バナナ、ピーナッツ | |
ビタミンB12 (シアノコバラミン) |
神経機能の維持、造血 | 貧血 末梢神経炎(手足のしびれ) |
ざ瘡、赤血球増多、末梢血管の血栓 | レバー、貝類(カキ、ハマグリ)、卵、魚類 | |
ナイアシン (ニコチン酸) |
皮膚、粘膜の保護 | ペラグラ(陽があたる部分の発赤、不眠、忘れっぽい、吐き気や下痢) | 皮膚の紅潮、動悸、頭痛、吐き気、悪心、肝障害 | レバー、肉類、豆類 | |
ビタミンB5 (パントテン酸) |
アミノ酸の代謝に関係 | 単独での不足症状ははっきりしていない | 報告なし | レバー、卵 | |
ビタミンC (アスコルビン酸) |
コラーゲンの合成 免疫機能の増強 |
歯肉の出血、あざができやすい(毛細血管がもろくなる) | 吐き気、下痢、頭痛、倦怠感、不眠、結石形成 | 緑色野菜(パセリ、ピーマン、ブロッコリー) 果物(柑橘類、キウイ、イチゴ) |
|
ビタミンH (ビオチン) |
糖・脂肪酸・アミノ酸の代謝に関係 皮膚、毛髪を正常に維持 |
脱毛、感覚異常 結膜炎 |
報告なし | レバー、酵母 | |
葉酸 | 核酸や蛋白の合成 | 貧血 | 亜鉛の吸収阻害 | ホウレン草、レバー |
*-1:ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)、ビタミンD3(コレカルシフェロール)
*-2:ビタミンK1(フィトナジオン)、ビタミンK2(メナキノン)
食事摂取基準
平成17年度から平成21年度の5年間使用する「日本人の食事摂取基準(2005年版)」は、平成16年10月に「日本人の栄養所要量-食事摂取基準-策定検討会」においてとりまとめられました。
食事摂取基準とは、健康な個人または集団を対象として、国民の健康の維持・増進、エネルギー・栄養素欠乏症の予防、生活習慣病の予防、過剰摂取による健康障害の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものです。
【栄養素】
健康の維持・増進と欠乏症予防のために、「推定平均必要量」と「推奨量」の2つの値を設定した。しかし、この2指標を設定することができない栄養素については、「目安量」を設定した。また、生活習慣病の一次予防を専ら目的として食事摂取基準を設定する必要のある栄養素については、「目標量」を設定した。過剰摂取による健康障害を未然に防ぐことを目的として「上限量」を設定した。
○推定平均必要量(estimated average requirement: EAR)
特定の集団を対象として測定された必要量から、性・年齢階級別に日本人の必要量の平均値を推定した。当該性・年齢階級に属する人々の50%が必要量を満たすと推定される1日の摂取量である。
○推奨量(recommended dietary allowance: RDA)
ある性・年齢階級に属する人々のほとんど(97~98%)が1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量である。原則として「推定平均必要量+標準偏差の2倍(2SD)」とした。
○目安量(adequate intake: AI)
推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量である。
○目標量(tentative dietary goal for preventing life-style related diseases: DG)
生活習慣病の一次予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量(または、その範囲)である。
○上限量(tolerable upper intake level: UL)
ある性・年齢階級に属するほとんどすべての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない栄養素摂取量の最大限の量である。
ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 | ビタミンB6 | ビタミンB12 | ナイアシン | パントテン酸 | ビオチン | 葉酸 | ビタミンC | |||
μgRE | μg | mg1 | μg | mg | mg | mg | μg | mgNE | mg | μg | μg | mg | |||
男 性 |
推定平均 必要量 |
550 | - | - | - | 1.2 | 1.3 | 1.1 | 2.0 | 13 | - | - | 200 | 85 | |
推奨量 | 750 | - | - | - | 1.4 | 1.6 | 1.4 | 2.4 | 15 | - | - | 240 | 100 | ||
目安量 | - | 5 | 9 | 75 | - | - | - | - | - | 6 | 45 | - | - | ||
上限量 | 3000 | 50 | 800 | - | - | - | 602 | - | 300 (100)3 |
- | - | 10004 | - | ||
女 性 |
推定平均 必要量 |
400 | - | - | - | 0.9 | 1.0 | 1.0 | 2.0 | 10 | - | - | 200 | 85 | |
推奨量 | 600 | - | - | - | 1.1 | 1.2 | 1.2 | 2.4 | 12 | - | - | 240 | 100 | ||
目安量 | - | 5 | 8 | 60 | - | - | - | - | - | 5 | 45 | - | - | ||
上限量 | 3000 | 50 | 600 | - | - | - | 602 | - | 300 (100)3 |
- | - | 10004 | - | ||
妊 婦 |
推定 平均 必要量 |
初 | +50 | - | - | - | +0 | +0 | +0.7 | +0.3 | +0 | - | - | +170 | +10 |
中 | +0.1 | +0.1 | +1 | ||||||||||||
後 | +0.2 | +0.3 | +2 | ||||||||||||
推奨量 | 初 | +70 | - | - | - | +0 | +0 | +0.8 | +0.4 | +0 | - | - | +200 | +10 | |
中 | +0.1 | +0.2 | +1 | ||||||||||||
後 | +0.3 | +0.3 | +3 | ||||||||||||
目安量 | - | +2.5 | +0 | +0 | - | - | - | - | - | +1 | +2 | - | - | ||
上限量 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | ||
授 乳 婦 |
推定平均 必要量 |
+300 | - | - | - | +0.1 | +0.3 | +0.3 | +0.3 | +2 | - | - | +80 | +40 | |
推奨量 | +420 | - | - | - | +0.1 | +0.4 | +0.3 | +0.4 | +2 | - | - | +100 | +50 | ||
目安量 | - | +2.5 | +3 | +0 | - | - | - | - | - | +4 | +4 | - | - | ||
上限量 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - |
(「日本人の食事摂取基準(2005年版)」)
RE:レチノール当量
1:α-トコフェロールについて算定
2上限量:ピリドキシンとしての量
NE:ナイアシン当量
3上限量:ニコチンアミドのmg量、()内はニコチン酸のmg量
4上限量:プテロイルモノグルタミン酸としての量(通常の食品以外からの摂取量)
初:妊娠初期、中:妊娠中期、後:妊娠後期
ビタミンA
ビタミンA(レチノール)は肝臓(レバー、キモ)や乳製品などの動物性の食品に多く含まれ、1日の食事に約780μgRE含まれています。また、β-カロチンは、ニンジン、ミカン、ホウレン草などの緑黄色野菜や果物など植物性食品に多く含まれます。
ビタミンAとβ-カロチンは構造がよく似ており、体内でビタミンAが不足するとβ-カロチンが分解して2つのビタミンAが作られます。そのため、β-カロチンはプロビタミン*Aと呼ばれ、大量に摂取しても必要量のみがビタミンAに変換されるので過剰症は起こらないと考えられています。
*プロビタミン:そのままではビタミンとしての作用はないが、生体内でビタミンに変わる前駆物質。
ビタミンAのプロビタミンはβ-カロチン
ビタミンD(D2)のプロビタミンはエルゴステロール
治療薬としては、角化性皮膚疾患(乾癬、魚鱗癬など)に使われます。
-生理作用-
・網膜の構成成分・・・網膜には、光を感じる視細胞があります。ビタミンAはたんぱく質とともに視細胞を構成する成分になり、不足するととり目(夜盲症)になります。
・皮膚の角化を防ぐ・・・皮膚、粘膜上皮細胞の増殖、分化を調節します。不足すると皮膚が硬くなる角化症になります。
・発ガンを抑制する・・・詳しいメカニズムはまだはっきりしませんが、上皮細胞の異常を防ぎ、発ガンを抑制する作用があるのではないかと考えられています。
-副作用(過剰症)と注意-
ビタミンAは決められた量を守って服用していればほとんど副作用はありません。しかし、過剰(15,000~30,000μgRE/日)に摂りすぎると尿に排泄されずに、肝臓などに蓄積し、頭痛、めまい、吐き気、けいれんが起こったり、脱毛、皮膚の剥離や痒み、四肢の痛みや腫れなどの中毒症状が起こる場合があります。このような症状は、ビタミンAの摂取を止めれば、1~2日後には消えますが、勝手に多量に服用しないようにしましょう。
-妊婦への注意-
妊婦におけるビタミンAの過剰摂取と先天性異常の発生に関連のあることが報告されています。
妊婦におけるビタミンAの推定平均必要量は、450μgRE/日で、厚生労働省では、推奨量を670μgRE/日としています。また、ビタミンAの胎児毒性を防ぐためにも、上限量を3000μgRE/日にして、ビタミンAの前駆物質であるβ-カロチンから摂ることが望ましいとする意見もあります。
ビタミンB群
多くのビタミンはいろいろな食品に含まれていますが、食事がインスタント食品や外食に偏ったり、清涼飲料水を多く摂ったりしていると栄養のバランスが悪くなってビタミン不足になることがあります。
ビタミンB群には、B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸などがあり、栄養素がエネルギーに変わるときに働く酵素の助けをします。
◆ビタミンB1の働き
強化米、豚肉、豆類に多く含まれます。糖質やアルコールをエネルギーにかえる酵素を助けたり、神経機能の維持に重要な働きをします。
欠乏すると手足のしびれやむくみなどの脚気症状が起こり、神経痛、筋肉痛、神経炎、心悸亢進などを生じます。特にアルコールを多く多く飲む人は、ビタミンB1の消費が亢進しますので、注意して下さい。
治療薬としては、代謝障害が考えられる疾患(脚気、神経痛、筋肉痛・関節痛、末梢神経炎など)に使われます。
◆ビタミンB2の働き
レバー、牛乳、卵などに多く含まれます。脂質、糖質、アミノ酸をエネルギーにかえる酵素を助けたり、成長促進作用、皮膚や粘膜の保護作用などがあります。
欠乏すると目、皮膚の炎症や口内炎、口角炎が起きたり、子供で成長障害を起こすことがあります。
治療薬としては、高脂血症、口角炎、口唇炎、舌炎、脂漏性湿疹、結膜炎などの疾患に使われます。
◆ビタミンB6の働き
肉類、パン、バナナ、ピーナッツなどに多く含まれ、腸内細菌によっても作られます。アミノ酸をエネルギーにかえる酵素の働きを助けます。
結核の薬や抗生物質の服用時に欠乏しやすくなり、口内炎や皮膚炎、貧血、食欲減退、倦怠感、末梢神経炎などが起こります。
治療薬としては、口角炎、口唇炎、舌炎、湿疹、末梢神経炎などの疾患に使われます。また、大量・長期投与(2000mg以上/日・1ヵ月~1年または100~200mg/日・3年間)により感覚性末梢神経障害(手足のしびれ、知覚異常、痛みや振動感など)、疲労、神経過敏などがみられることがあります。
◆ビタミンB12の働き
赤いビタミンと呼ばれ、貝類、卵、レバーなどに多く含まれます。アミノ酸、脂質の代謝を助け、神経機能の維持、赤血球の産生に重要な役割を果たします。最近では、ビタミンB12の大量(1500~3000μg/日)投与によって、睡眠障害が改善されることが認められています。
欠乏すると手足のしびれ、神経痛、筋肉痛、貧血などが起こります。胃を広範囲に切除した人や回腸を切除した人はビタミンB12の吸収が悪く欠乏症を起こしやすくなります。
治療薬としては、貧血、悪性貧血などの疾患に使われます。
◆ナイアシン(ニコチン酸)の働き
レバー、肉類、豆類に多く含まれます。皮膚や粘膜の保護作用、末梢血管拡張作用、全コレステロールの低下、HDL-コレステロールの上昇及び中性脂肪の低下作用があります。
欠乏するとペラグラ(口唇炎、下痢、日光に当たった部分の発赤、不眠、痴呆)になります。
治療薬としては、ペラグラ、口角炎、口唇炎、舌炎、湿疹、メニエール症候群、耳鳴り、難聴、高脂血症などの疾患に使われます。
◆パントテン酸の働き
レバー、卵などに多く含まれます。アミノ酸や糖の代謝を助け、腸の動きを活発にします。
腸内細菌によって作られるため欠乏症状ははっきりしていません。
治療薬としては、ストレプトマイシン(結核治療剤)の副作用予防、湿疹、弛緩性便秘などの疾患に使われます。
◆ビオチンの働き
レバー、酵母など多くの食品に量は少ないが含まれます。糖・脂肪酸・アミノ酸の代謝に関係し、皮膚、毛髪を正常に維持するために必要とされます。
ビオチンはビタミンHとも呼ばれ、「H」はドイツ語「Haut」(皮膚)に由来します。
腸内細菌によっても作られるため普通の食生活では欠乏症にはなりません。ただし、乳児において腸内細菌が未発達なうえ、ビオチンをほとんど含んでいない粉ミルクをのんでいるとビオチン不足になりやすいので注意して下さい。
治療薬としては、多発性関節炎、神経障害、皮膚炎、脂漏症、発疹、脱毛、乾癬などの疾患に使われます。
◆葉酸の働き
ホウレン草、卵、レバーなど多くの食品中に含まれますが、水や熱により働きを弱めます。たんぱく質や核酸をつくるのに重要な役割を果たします。
欠乏すると貧血にもとづくめまい、動悸、息切れ、疲労、集中力の減退、全身倦怠感、口内炎、舌炎、脱毛などが起こります。
抗悪性腫瘍薬、抗結核薬、抗てんかん薬服用時に欠乏しやすくなり、貧血、息切れ、めまいなどが起こります。また、成長や妊娠の維持に欠かせないビタミンとして、受胎前4週から妊娠12週まで1日400μgを摂取すると「胎児の神経管障害のリスクを軽減する」ことが認められたことから、妊娠を計画していたり、妊娠初期の人は多めにとるようにして下さい。
ビタミンC
ビタミンC(アスコルビン酸)は緑茶、野菜、果物などに多く含まれており、シュウ酸塩の前駆物質であり、腎臓結石の構成成分でもあります。悩みや緊張、怒りなどの精神的ダメージや、けが、病気などのからだのダメージをうけた時とか、喫煙によって大量に消費されますので、十分な摂取を心がけて下さい。
治療薬としては、色素沈着(シミ)、毛細血管の出血、薬物中毒などの疾患や鉄剤(造血剤)の吸収を良くする目的で使われます。
-生理作用-
・コラーゲンの生成に関与・・・組織の細胞と細胞を結合させるたんぱく質であるコラーゲンの生成にかかわっています。、ビタミンCが不足すると肌の張りが失われたり、出血しやすくなります。
・メラニン色素の生成抑制・・・メラニン色素の生成を抑制し、色素沈着(シミ)を防止します。
・ステロイドホルモンの生成に関与・・・ストレスから体を守るホルモンの生成にかかわっています。
・からだの抵抗力をつける・・・白血球の機能を高め、体の抵抗力のもとになります。
・鉄の吸収を促進する・・・食物に含まれる鉄が体内に吸収されるのを助けます。不足すると貧血症状を起こすことがあります。
・体の酸化を防ぐ・・・体の酸化を防ぎ、動脈硬化などを抑制します。
・発ガン物質の生成を阻止する・・・魚や肉に含まれるアミンから発ガン物質であるニトロソアミンが作られるのを阻止します。
-副作用(過剰症)と注意-
ビタミンCは熱に弱く、水に溶けやすいため、調理法や保存に注意して下さい。
余分に摂取しても尿中に排泄されてしまうので、過剰摂取による障害はありませが、腎臓に障害のある人は、大量にビタミンCを摂り続けると尿中のシュウ酸がカルシウムと結合して腎臓結石や尿路結石の原因になりますので注意して下さい。
ビタミンD
ビタミンDにはD2、D3が知られており、うなぎや鰹、いわしなどの背青の魚や卵黄に多く含まれ、これらの食物から取り込まれるものと日光を浴びて皮膚で作られるものがあります。
不足すると骨や関節が弱くなり、腰の痛み、だるさを感じたり、骨粗鬆症、骨軟化症になったり、小児ではくる病になったりします。
治療薬としては、活性型ビタミンD3として慢性腎不全、副甲状腺機能低下症、くる病・骨軟化症、骨粗鬆症などの疾患に使われます。
-生理作用-
・カルシウムの吸収率を高める・・・骨の材料になるカルシウムはそれ単独では吸収率が非常に悪く、70~80%が体外に排泄されてしまいます。ビタミンDは小腸からのカルシウムの吸収を促進します。
ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)、ビタミンD3(コレカルシフェロール)のどちらにもついているカルシフェロールとは、ラテン語で「カルシウムの運び屋」という意味です。
・骨の新陳代謝を活性化する・・・骨の破壊と再生を調整し、骨形成を促進します。
-副作用(過剰症)と注意-
ビタミンDは油に溶けるため、過剰(250~1250μg/日)に摂取・投与すると脂肪や筋肉に蓄積されて高カルシウム血症、腎臓結石、中枢神経症状(興奮、不眠、頭痛)、消化管症状(食欲不振、悪心、嘔吐)などが起こります。この中毒症はビタミンDの投与を止めても半年以上も続く場合もあります。ただし、最近、骨粗鬆症などの治療で使われている活性型ビタミンD3は投与を中止すれば数時間で消失します。
ビタミンE
ビタミンEはうなぎ、にしん、かぼちゃ、アボガドなどに多く含まれます。喫煙習慣のある人、ストレスの多い人、成人病のリスクの高い人は多めに摂取するようにこころがけて下さい。
治療薬としては、末梢循環障害、過酸化脂質の増加防止、外用剤では、凍瘡、進行性指掌角皮症、尋常性魚鱗癬などの疾患に使われます。
-生理作用-
・細胞膜の酸化を防ぐ・・・成人病の原因の一つである酸化を防ぎます。
・血流をよくする・・・血球(赤血球、白血球、血小板)が血管壁にくっついたり、固まったりすることを防ぎます。
・動脈硬化を防ぐ・・・コレステロールの変性を防ぎます。
-副作用(過剰症)と注意-
ビタミンEは油に溶けやすいので油といっしょに摂ると吸収率が高まります。過剰症はあまりみられません。
ビタミンK
緑黄色野菜や納豆、青のりなどに含まれている、油に溶けるビタミンです。
抗生物質や抗凝血薬を服用していたり、肝臓の働きが低下した時に欠乏することがあります。欠乏すると皮下組織、全身臓器に出血傾向があらわれます。
治療薬としては、血液の凝固因子が十分に作られない状態のときや新生児に使われます。また、吸収を良くしたビタミンK2は骨粗鬆症の治療に使われます。
-生理作用-
・血液凝固因子の合成・・・肝臓での血液凝固因子の生成を促進します。
ビタミンKの「K」はドイツ語の「Koagulation」(凝固)からとられました。
-副作用(過剰症)と注意-
のみ薬には大きな副作用はありませんが、溶血性貧血、吐き気や便が軟らかくなったりすることがあります。非常にまれですが、注射でショック症状を起こすことがあります。
血栓症予防剤のワルファリン(ワーファリン)を服用している人は、ビタミンKがワルファリンの効き目を悪くするので注意して下さい。
〔参考〕
水島裕監修:メディクイックブック,2005,金原出版
渡邉敏明:ビタミンを摂りすぎると,からだの科学 No.271,32-41,2001
小笠原信之:ビタミンとミネラル,からだの科学 増刊,54-74,2003
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