Q13.腸溶性フィルムコーティングカプセルについて教えてください?
A : フィルムコーティングを施す目的としては、
①錠剤などの表面を滑らかに覆い、苦みなどを抑え、のみやすくする
②有効成分が胃酸により失活しないように、胃では溶けずに小腸で溶けて薬物の効果を発揮させる
③水に溶けない不溶性高分子膜により有効成分を徐々に放出し、効果を持続させる
④胃障害などの副作用を軽減させる
などがあげられます。
胃では溶けずに、小腸の中性pH条件で溶解するコーティング剤には、天然のセルロースにカルボキシル基を導入した半合成高分子と合成高分子があります。
フィルムコーティングカプセルには、カプセルの表面を腸溶性フィルムでコーティングした腸溶性フィルムコーティングカプセル剤と、カプセルはそのままで、腸溶性フィルムを施した顆粒を入れた腸溶性顆粒含有カプセル剤とがあります。
カプセルに直接フィルムをコーティングしたものは、乳酸菌を含有する活性生菌製剤などがありますが、あまり数は多くありません。
一方、腸溶性顆粒含有カプセル剤は数が多く、抗生物質のL-ケフレックスカプセル、消化器系薬のタケプロン、循環器系薬のペルジピンLA、セパミットRなどが代表例です。
これら腸溶性顆粒含有カプセル剤は、最初にカプセル剤が胃で溶けて腸溶性顆粒が個々に腸へ排出されるので比較的安定した吸収が得られます。また、個々の顆粒に違った種類のフィルムをコーティングすることにより、持続性製剤としての役割も発揮します。
実際には、腸溶性顆粒と胃溶性顆粒を混合することにより、より一層の持続性が得られ、朝・夕食後の1日2回の服薬ですむようになり、服用忘れが少なくなりました。
仕事や勉強、遊びにめまぐるしく飛び回っている現代人にぴったりの剤形であり、今後ますます持続性の開発はさかんになることと思われます。